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光は閉じ込められないという話

木澤陸斗

電池みたいに光を溜めたい

室内で植物を育てるとき、光をどう当てるかは非常に重要です。なんといっても、植物は光合成で育ちますから。

しかし、植物が十分にすくすく育つほどの光を当てようと思うと、思っている3倍くらいの明るさが必要です。ぐんぐん育てたいときはその電気代がバカになりません。

そんなとき、誰でも思いますよね。太陽光を直接利用できればって。電池みたいに光を閉じ込めておいて、後から利用できればすごく便利なのに、なぜできないのだろう。そう思って調べた結果が単純ですが面白かったので、まとめてみました。


そもそも、エネルギーって?

エネルギーの形態には色々あります。熱、電気、光、音など身近なものから、理系なら化学エネルギーや核エネルギー、弾性エネルギー、力学的エネルギーなんかもあげたくなりますよね。

これらのエネルギーを、変換せずに直接溜める方法を考えてみました。ほとんどのエネルギーはすぐに思いつくと思います。

力学的エネルギー

フライホイール,ダムの水

熱エネルギー

蓄熱材,熱水タンク

電気エネルギー

電池,キャパシタ,揚水

化学エネルギー

ガソリン、水素など

核エネルギー

ウラン・プルトニウムなど

内部エネルギー

熱・圧力の状態として(蒸気,気体)

弾性エネルギー

バネ,ゴム,圧縮空気

しかし、光と音については非常に厄介です。今回は光に焦点を当てたいので音の話は省きますが、現代においてもこれらを効果的に利用できるような保存方法は発明されていません。


光エネルギーのため方①

光エネルギーをためておく方法の一つに、蓄光材が挙げられると思います。

蓄光剤についてはこちらの記事がわかりやすいので原理などが気になる人は見てみてください。

夜光と蓄光のちがいとは?仕組みから活用法までご紹介 | 日東エルマテリアル

しかし、蓄光剤はほんのりと光る程度で、災害時など光に困っている場合には助かりますが植物を育てるのには不向きです。

光エネルギーのため方②

光エネルギーを利用するというと、太陽光パネルを思い浮かぶ人も多いでしょう。太陽光パネルは、半導体を用いてパネル内の電極に電位差を生じさせ、電力を生む仕組みです。これは現在最も有効な光エネルギーの利用方法だと言えますが、電気エネルギーにしているだけなので今回の直接溜めるという話題からは外れてしまいます。


魔法瓶みたいなのに閉じ込められない?

ここからが本題です。熱々のお湯を後で利用しようと思うと、魔法瓶のような容器に入れておくとある程度の時間なら保持することができます。もちろんロスが完全に0になるわけではないですが、それでも十分溜められているといって良いでしょう。

では、同じように光も容器に入れられないのか、と考えたことがある人は少なくないと思います。もちろんこんな簡単なアイデアのものが実在していないのは無理だから、ということで片付けても良いのですがその理由も気になるところです。

例えば、以下のような装置を考えましょう。

これが、ダメな理由を説明できますか?私はできませんでした。

結論は、光がすごくすごく速いから、です。

定義通り光速で動く光は、一瞬でもの凄い回数壁で反射します。光速は秒速で10^8[m]オーダーなので、仮にこの容器の辺が1[m]だとしても1秒で10^8回反射することになります。

鏡は、たとえどれだけ高精度で全てを反射するかのように思える鏡でも、100%にはなりえません。実在している物質である以上、必ず少しは反射できない部分があります。それがたとえ99.9%でも、99.999%でも、これだけ反射回数が多いと一瞬でこの0.001%が重なり光は無かったものになってしまいます。


結論

結局、今日書きたかったのは光を閉じ込めるのが無理な理由は、光が速すぎるから、ということです。結果だけ見るとなんとも面白みのない記事に思えますが、他のエネルギーとは違い移動が速すぎるというのはなんだか盲点のような気もして面白かったです。

植物は素直に電気を光に変えて育てることにしましょう。

また、これくらいのくだらない発見があれば記事にすることにします。